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んんっ…。ここは?
目を覚ました私は、外で、誰かの膝を枕にして寝ているみたいだった…。
「うわぁ!」
慌てて、飛び起きると、そばにいた青年に、笑われた…。
どうやら、彼の膝を、枕にしていたらしい…。
「あははは…おかしいなぁ、渚さんは。」
私の名前を、知ってる?
それに、この声、この顔…。
「ごめんなさい!私ったら…。」
顔は、恥ずかしさで、真っ赤になっているに、違いない…。
「ええっと、…さっき、助けてくださった方ですよね?
…お礼も言わず、ごめんなさい。」
「…気にしないで。当たり前のことを、しているだけなんだから。
力のない女性に向かって、力のある男性が、理不尽に力を使うなんていうのは、あっちゃいけないことだよ…うん。
ああ、それにね、俺は、君を守るために、存在しているんだから、一々、礼は言わなくていいからね…。」
「へっ?…私を守るんですか?
…あのう、あなたは、一体、誰なんですか?
…私の名前も、ご存知のようですし…。」
私の質問に、青年は、律儀に答えてくれた。
それも、きちんと地面に、膝を着いた、最敬礼をしながらだ。
「自己紹介が、遅れて申し訳ありません。我が姫。
俺は、トキオ。君を守護するための、君だけの騎士。
そして、俺は、君と対となる《鍵》。」
「ちょ、ちょっと待って。対の《鍵》って、どういうこと?
《鍵》って、私、一人じゃないの?」
「ローズから、なにも聞いてないのか?」
「知りたいことは、知るべき時になったら、教えるし、わかるって…全然、教えてもらってない…。
基礎知識は、クローディアに、教えてもらったけど…。」
「本当に、基礎の基礎しか、聞いてないのか!…マジかよ…。参ったなぁ…。
ああ、そんな顔しないで、俺が、教えてやるから。」
「本当に?」
「君に、嘘をつく、必要性を、俺は、感じないんだけど。」
「ごめんなさい!教えてください!」
ぽふぽふ
「…いい娘だな、君は。」
頭に乗せられた手が、大きくて、やさしかった…。
私は、彼を、ずっと前から、知っている気がした。
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