◇第1章◇ 思い出

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◇◇◇ 眩しい太陽。 白い雲がぷかぷか浮かんだ広い空。 夏の終わりに吹く風は、今も時間をあの頃に戻してしまう。 空を見上げ、 エプロンの紐をキュッと縛り直して前を向く。 今日も私は、 子供達の笑顔に囲まれて楽しく過ごしてる。 「ちなつせんせ~い!!」 「なぁに、あゆこちゃん」 保育士になって4ヶ月。 子供達の笑顔は本当に私を元気にしてくれる。 「あきらくんがね、また野球のマネしてスコップ振ってるのー」 またあきら君か…! あゆこちゃんに連れられて砂場に行くと、プラスチック製のおもちゃのスコップをバットのように振って遊んでいるあきら君がいた。 「あきら君、危ないよ。スコップはそうやって使うものじゃないよね?」 「だって昨日も相原打ったんだよ?すごいだろ?こーやってな」 そう言ってまたスコップを振ろうとして、構えた。 「ハイハイハイ、ここは砂場だよ。スコップは砂を掘るもの!さぁおっきなお山を作ろうっ」 あきら君のスコップを止めて、近くにいた園児達と一緒に砂の山を作る事にした。 「よしっ、オレがこれで砂を乗せてやるっ」 「ありがとう」 私の受け持ったクラスは、年中さん。 担任はベテランの正岡祥子先生。 とても優しくていろんな事を教えてくれる、素敵な保母さん。 正岡先生の下で、早く一人前の保育士になろうと日々奮闘中!
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