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初めての恋⑫
樫野に連れてこられた場所・・それは先日、私が彼に自分にたいする気持ちを聞いた女子寮へと行く道だった。
「こんな所で止まってどうしたの?」不思議に思い聞いてみる。
それに・・ここは、あの日の事もあるので正直好きではない。
すこしの間、沈黙が流れて・・・
「・・今まで言わないように我慢してたけど、俺も・・その・・天野が好きだ!」
彼は頬を赤くしながら言う。
嘘・・・いちごは自分のほっぺを軽くつねる・・痛い、夢じゃないんだ。
「うん・・私も、かし・・樫野のことが大好き!」
ちゃんと自分の伝えたかった事を最後まで言えた。
嬉しさのあまり涙がこぼれる。
両思いになれた・・それが他のどんな事より嬉しかった。
樫野は泣いてる私を優しく抱きしめ頭をなでてくれた。
しばらくして2人は道をゆっくり手をつないで歩きながら色々な話をした。
調理室ではなく中庭にいた理由も聞けたし・・なにより私は今、とても幸せだった。大好きな人と同じ時間を過ごせて・・・。
「悪りぃな・・・辛い思いさせちまって、いちご・・愛してる」
えっ?今、名前で・・呼んだ?
「ううん・・もう大丈夫。真・・大好き!」
嬉しくて私は彼に抱きつく。
これからもずっーと一緒にだよ。
(完)
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