夢色ﾊﾟﾃｨｼｴｰﾙ~ｱﾌﾀｰｽﾄｰﾘｰ~

初めての恋

初めての恋⑤

調理室に着いて中に入ると彼は一度手を止めて

「来たか・・悪りぃな、こんな時間に呼び出しちまって・・・」
私の顔を見るなり謝る樫野。

いつもの彼とはどこか違う・・そんな違和感を感じた。

「別に良いけど・・急になしたの？」ここに来るまで呼ばれた理由を考えたが、結局わからないままだった・・だから理由を聞いてみた。

これが花房や安藤ならば、その答えはすぐに検討もつくのだが・・この人の場合は別だ。

「ぃゃ・・・その、あれだ・・今日は色々と悪かったな・・天野」
どうやら、今日の実習での事を謝りたかったらしい。

まったく気にしていないと言えば嘘になるが、樫野の何気ない優しさが嬉しくて

「大丈夫だよ、気にしなくても・・・私が悪かったんだし」
いちごは笑顔でそう言う。