初めての恋

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初めての恋⑦ 寮までの帰り道・・二人とも互いに口をひらがず歩く。 あたりは静寂につつまれ、不気味なほど静かだった。 「ねぇ・・樫野、私の事好き?」 先に口をひらいたのは、いちごだった。 自分が期待してる答えが聞けなかったとしても、あとで後悔したくないからこそ思い切って・・・ただそう思った。 それを聞いて私の前を歩いていた彼が突然足を止め 「なっ・・何だよ?天野、急に」 振り向きながら聞いてくる。 樫野が戸惑うのも無理はない・・当然の反応だろう。 「まぁ、好きもなにも同じグループの仲間だろ?」 予想通りの答えだった。彼は私を恋愛対象として見てはいなかった・・・。私が勝手に、この人に片思いしてただけだった・・。 むなしさで胸が苦しくなる・・。 大粒の涙が頬をつたわってこぼれ落ちる。 いちごは、うつむきそのまま寮まで走って帰った。
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