初めての恋

10/14
前へ
/81ページ
次へ
初めての恋⑧ 翌日・・。調子は最悪だった。 体調ではなく気持ちが・・・。 実習中も卵の入ってるボールを床に落とし、スポンジも焼きすぎて黒こげ、さらには材料の分量を間違えて先生に怒られ ・・・何ひとつまともに出来なかった。 私は横目で樫野を見るが、彼は気にもせずに自分の作業に集中している。いつもみたく失敗するたびに怒ってよ・・・ 「いちごちゃん?大丈夫?」 私の異変に気付いた花房くんが声をかけてくれた。 安藤くんも心配そうに、こっちを見ている。 「だっ・・だい・・う・・だよ」 今まで我慢していた涙が急に溢れだす。 花房くんは私が泣き顔を見られないように自分の体で隠してくれた。 何でこんなに悲しいんだろう・・ 樫野の口から欲しかった言葉をもらえなかったから? 違う・・なら、私はどうすれば良かったのかな?頭の中はぐちゃぐちゃで何も考えられなかった。 「先生!!すいませんが、彼女を保健室へ連れて行きます!」 花房くんは私の体を支えるように調理室を出て保健室へと向かう。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

209人が本棚に入れています
本棚に追加