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結婚式~happy wedding~⑧
式場へ向かうタクシーの中で樫野は腕時計を見ると、もう少しで10時になるところだった。
式が始まるのは14時から・・まぁ、間に合うだろう。
「てか・・マジ、焦ったぜ。お前ったら全然起きねぇし・・」
彼は少し嫌味っぽく言う。
まだ、昔みたく説教されないだけ・・良かったかな。そう思った。
「本当に結婚するんだもんね・・なんだか実感わかないな~」
そう言いながら、パリへ修行へ行ってた時の事を思い出す。
正直、『約束』をしたあの日から、ケンカもたくさんしたし私から別れる・・・なんて言いだしたのも、一度や二度の話ではない。
それでも、ケンカをした時は必ず真から謝ってきた。
まぁ・・今となっては、けっして良い思い出とは言えないが・・思い出である事にはかわりない。
「いちご?何、ぼっーとしてんだ?」
思い出の余韻に浸っていると樫野が、のぞき込むように私の顔を見ながら聞いてくる。
「ううん。別に~何でもないよ」
いちごは嬉しそうに言う。
そんな会話をしてるうちに教会の前でタクシーが停まる。
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