#01

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**** シャワーを終えて、まだ少し湿った髪をタオルで拭きながら。 ──わかっている。 わかっているのだ。 だが、 他の社員の目に映る自分が怖い。 知らず知らずに貼られた“不完全な日本人”というラベルをまざまざと見せ付けられるようで。 なるべく社内では慎ましくしていたい。 司がかけてくれる言葉には偏見がない。 本当にありがたいと、思う。 それでも、心のなかでは、 汚い色と、形をした思いが渦巻く。 「はぁ。」 この、やりきれなさを何処にぶつければ良いのだろう。
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