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今朝の出来事である。
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「しまった!」
業務部、榎本部長が声を上げる。
たまたま珈琲か緑茶かをお入れしましょうか等と黒江が尋ねようとしたところであった。
その声に驚きつつも....
「.... 如何されましたか?」
黒江は榎本部長に声をかける。
部長はあぁ.... と焦ったように溜め息をつくと、
「いや、本日から新しい課長が配属されるのだがな、私のところの支部に来てくれとだけしか伝えとらんのだよ.... 前、彼に合ったときは品川にいたんだが、今年度から業務部はまるごと新宿支部に移っただろう.... それをつたえとらんのだ.... 今頃.... 」
あわあわと焦る部長。
「電話で連絡をとろうにも、彼のプライベートナンバーまでは知らないし.... っ、そうだ!」
ガバッと部長が私をみて、
「私はこれから朝の朝礼の準備があるのだ.... 悪いが、彼を迎えに行ってはくれんか?.... 幸い、黒江くんは手際がいいおかげで仕事たまっていないようだし、勿論今回のお礼はするから。」
たのむっ!とばかりに訴える部長。
普段の温厚で優秀な部長からは創造出来ないミスだが.... と思いながら
「ぶ、部長、か、構いませんよ。それより、少し落ち着いてください。」
「..... そうか!ひきうけてくれるか!」
部長は急いでメモに何かを書き、社員専用車のキーとそのメモを渡す。
受け取ったメモには品川支部の住所と、その新たに配属されるであろう課長の氏名が書かれていた。
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