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声をかけられ、ちら、と視線を玖珂へむけ、運転中であるため直ぐに前方へ戻す。
「何でしょう?」
「.... .... ハハッ。」
?
笑った....?
玖珂は続ける。
「君は業務部?.... 俺とコンタクトをとりにきたってことは、今回のチームの一人とか?」
「そうです。.... ただ、まだチーム編成だけですので、はっきりとした担当等は確定はしていませんが.... 」
坦々と述べる黒江。
ふーん....
「そうなんだ.... 「玖珂課長は、」
黒江が言葉を挟んできた。
「今回の、どう思いますか?」
折角のこの時間。
黒江は無駄にしたくなかった。
部長が言うに、彼は“優秀”であるらしいから、今回の仕事についての彼の見解を知りたいと思ったのだ。
会社に着いてしまったらそんな暇はないだろうし。
玖珂の顔が少し驚いた顔をし、
「....君は?.... どう思う? 」
暫し、考え、黒江は言う。
「はっきり言って、難しい。.... と思っています。依頼と、ベースと比較して.... ですが。」
勤めるこの会社は、内装、外装デザインからCM、広告業を営んでいる。
今回は新しく駅の地下に出来るショッピング街の内装やショップの配置などを手掛けるのだが、駅側の希望と、ショップ側の希望が旨く合致していないのだ。
資料を見た限り、少なくとも黒江はそう感じたのである。
へぇ。
なるほど。話が早いな。
「.... 同意。全く合ってないと思ってるよ。俺は。.... おおかた、営業部の誰かが先方との打ち合わせでちゃんと意見を纏めてこなかったんだろう。.... ここから大変なのは実業部と業務部なのに。」
出だしは最悪。
司もそう言っていたような。
課長もそう思っていたのか...
黒江は自身の違和感が間違いではなかったのだと確信できた。
ただ、ここからが大変なのだ。
さらに統一化させ、明確なデザインを考えていかねばならない。
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