#01

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そして、黒いストレートの髪を掴むとズルリ、と剥ぎ取った。 同時にさらり、と零れるプラチナブロンドの髪。 ロングヘアというほど長くはないセミロングの髪がゆれる。 鏡に映るのは。 淡紫色の双瞳に薄く輝く金色の髪。 それは、普段社内でみせるそれとはまるで別人の姿。 「.... 。」 いやだな。と、黒江はおもう。 黒江は日本人。 だが、日本の血は四分の一しか入っていない。 母親はアメリカ人。 父はイギリス人と日本人のハーフ。 母親は病弱で、父親は仕事で忙しく世界中飛び回っていたため、幼少期は父方の祖母のいる長野県で過ごした。 幼い頃から日本で過ごしていたため、外見に似合わず日本語はご覧の通り堪能だが、英語はボチボチ。 英語技能検定2級を受験回数5回目にしてついこの間取得したばかり。 ついでに二次試験面接得点はボーダーの+2点という。 面接官も少なからず驚いていた。 明らかに日本人ぽくない外見と、 外見にそぐわないトーキングレベルの低さに。 さぞ笑い者だろう。 同期の司はペラペラなのに。 TOEIC なんてもっての他である。
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