第1章 始まりの便り

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「ん…」 静かに瞼を開く 頭の中は白濁していて 上手く考えられない。 「ゆ…め…?」 そう夢…とても恐ろしい夢を見ていた気がする しかし、どんな内容だったかは覚えていない。 ゆっくりと上半身を起こし 前髪を掻き上げ、少し無心になる。 心なしか喉が痛む。 二階の自室を出て、一階の リビングへ移動する 起きてきた所で誰もいない 時計を見ると、午前4時… 家族はまだ寝ている。 ゆっくりと冷蔵庫の前に立つ それからカレンダーを見る カレンダーには7月と書かれていた。 そう、今は高校生、最初の夏休みなのだ だけど、ありきたりな日々… 小説やアニメなんかでは 何か面白い事が起きるものだ なのに、何も起きないのが現実だ 「はぁ…」 冷蔵庫から水が入ったペットボトルを取り出し それを口に含む。 喉が潤った所で、部屋に戻ろうとするが 誰かに呼ばれた気がした… 家族の誰かが起きたのかと思い 声がした方へ振り向いた。 「あれ?」 そこには、人なんか居なくて 代わりに一通の手紙が落ちていた。 そこには機械で打ったような規則正しい字で ”彪崎 玲様へ“ と書かれていた 間違いなく、私の名だった。 よく名前で男と間違われるが、 私は女だ。 読み方は、 “アヤサキ レイ” 誰が付けたのか間抜けな名だ。 そんな思いを辿りながら 手紙の封を切った。 中にはこう綴られていた。 《彪崎 玲様へ この度は、私どもが開催するゲームについて 送らせた次第で御座います。 是非とも玲様もご参加して頂きたく思います。  日時は、7月17日の午後7時7分。 場所は暁高校になります。 それでは、お待ちしています。》 「…訳分かんない」 何で夏休みまで学校へ行かなきゃ いけないんだ 暁高校とは私が通っている 学校で、生徒は全部で 九百人近く居る。 「…て誰からよ。こんなヘンテコな手紙寄越したのは。」 封筒の裏側を見るが そこに書かれている文字に 又も呆れた。 何故なら、そこには 聖地よりと記さしれていたからだ。 深い溜め息を漏らし 「アホくさ」 誰からのイタズラだと思い 捨てようとするが… 何故か出来ず、そのまま 部屋に持ち帰った。 しかし、私は知らなかった。 聖地という物も… これからの運命も…
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