ー第二話ー

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利通「して公務員と言うくらいだから、経費やらは国が出すのだろう?」 あやめ「はい、税金です。」 ぜいきん?とまた大久保さんは首をひねった。 うーん、当たり前だと思ってたことを説明するのって難しい。 あやめ「税金は、私たち国民が国に払ってるお金のことです。 例えば消費税なんかは売値の五パーセントを課金して、その五パーセントを国に納めるんです。」  利通「成る程、その言いようだといくつか種類があるようだな。」 税金、と何度か呟いている大久保さん。 何かを模索しているらしい。 利通「税金……米ではなく、金銭にすればたしかに安定するな。」 あやめ「え?」 思わず聞き返してしまったけれど、大久保さんは夢中になって話し始めた。 利通「今までは農民に米を納めさせていたのは知っているだろう。」 あやめ「う、うん?」 利通「知らなくてもいいが。いいか?米は藩や幕府の力に比例していると言ってもいい。 しかし米は自然のものだ。不安定にも程がある。」 あっ、それは何となく分かる。 利通「凶作や飢饉が続けば当然米は幕府に入ってこない。米価によってその価値自体が変わることも多々ある。 だが金銭なら…それらが解消される。」 大久保さんの少しキラキラした眼が、なんだかとても新鮮だった。 私もなんだか嬉しくなって、いっぱい頷いた。
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