ー第二話ー

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利通「見立て通りだ。あやめの住む世界は合理的だ。」 たしかに、システム的にはすごいと思う。 私はまた頷いた。 あやめ「あー、もう夜中過ぎちゃってますよ?そろそろ寝ましょうよ。」 時計を見ると十二時をまわっていた。 だけど大久保さんは、 利通「駄目だ、眼がさえてしまった。」 あやめ「えー、そんな子供みたいな…。」 その言葉に大久保さんは少しむっとしたけど、ちょっと笑って、 利通「先に寝て構わんぞ。私はこの『てれび』とやらに興味がある。」 と、テレビの画面の前に座り込んだ。 あやめ「あんまり遅くならないで下さいよー…。」 利通「心配には及ばん。 明日はまた神社に行こう。」 はーい…、と私は生返事をして布団に潜った。 (好奇心旺盛すぎるよ…。) などと思いながら。 【薩摩藩・大久保利通】 成る程、さっぱり分からん。 背後のあやめの気配を感じながら私は『てれび』に釘付けになっていた。 何を言っているのか、同じ日本語である筈なのに(時折英語らしいものも混じるが、)さっぱり理解できない。 それがまた興味深かった。 先ほどの『ぜいきん』の事といい、けいさつ……と言ったか? 実に合理的だ。 利通「少しばかり参考にさせて貰おう…。」 と言う私の呟きは、あやめは聞いていなかったようだった。
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