ー第一話ー

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【主劇・あやめ】 あやめ「……で?」 利通「ん?」 一文字の短い会話を、私たちはとぼとぼ歩きながら交わした。 あやめ「どうやって帰るんですか?」 利通「さっぱり分からん。」 (即答ですか…っ!) と、私は何度目かの溜息を吐いた。 私を追って現代までやってきてしまった大久保さん。 さっきまでは何か…いい感じだったのに。 結局、私たちは過去への戻り方が分からず、そのまま神社の境内を徘徊していた。 あやめ「ずっとこんなんじゃ日が暮れちゃう…。」 利通「確かに、あやめの言う通りだな。 …仕方ない。今日は引き上げるか。」 え? あやめ「そんなこと言っても…引き上げるところなんか無いですよ。」 家は東京だし、お金もないし……。 あやめ「私の合宿所に来るわけにも行かないし…。」 利通「……合宿所?」 と、大久保さんが此方をみた。 利通「合宿所とは、宿のことか?」 あやめ「えっ…。なんか、まぁそんなもんですけど…。」 ただ泊まるだけなら良いんだけどね。 稽古厳しいからなぁ、剣道部。 まぁ辞めるけど…。 利通「……宿か。」 と、大久保さんは何か考え出した。 あやめ「……何考えてるんですか。」 やな予感しかしないんだけど…! 利通「……一つ案だ、あやめ。」 そうして大久保さんはニヤリと笑った。
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