ー第一話ー

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とりあえず私の部屋に到着して、襖を開けた。(合宿所は全室和室、二人一部屋を割り当てられていた。) あやめ「あれ、カナちゃん。」 そこには荷物をまとめていたカナちゃんがいた。 あやめ「どしたの?」 カナ「もー、どしたのじゃないよ。あやめちゃんのせいで部屋移るんだから、わかってんの?」 (うっ、それを言われると…。) 胸が痛い。 カナ「……もう、冗談だよ!あやめちゃんは親切だからねー。無碍には出来ないんだよね。」 あやめ「う、うん。」 なんだ、冗談か…。 私はほっと胸をなで下ろした。 カナ「こんにちは。あやめさんの親戚だったんですね。」  と、カナちゃんは部屋を出る際に大久保さんに声をかけていた。 カナ「あやめさんとはどういう関係なんですか?」 あやめ「ちょ、カナちゃん!?親戚って言ったよね!?」 今度は何を言い出すの!? 利通「私が叔父であやめが姪、ということになっている。」 カナ「なっている?」 あやめ「おおく……っ、叔父さん!!」 大久保さんまで何言うの!! と、叫んでしまいそうなのを必死で堪える。 成り行きが怖い。 利通「…ふむ。何やら疑っておられるようだが…。」 と、大久保さんはカナちゃんの手を取って、 利通「部屋を追い出す形にしてしまい申し訳ない。 感謝します。」 と、軽く頭を下げるとカナちゃんの手の甲をおでこにくっつけた。 (ーー…っ。) 利通「…どうか愛する姪を疑わないでやってください。」 カナ「へー…。 …はい、わかりました。まぁはなから疑ってはないんですけどね?」 何故かクスクス笑いながら、カナちゃんは部屋を出ていった。
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