ー第二話ー

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利通「おいあやめ、今映っているのは何だ?」 と、大久保さんはテレビの画面から顔を剥がさずにそう尋ねた。 見てみると、ちょうどニュースをやっていて、最近起きた事件とか政治とかを報道している。 今は銀行強盗を捕まえた、というニュースの真っ最中だった。 あやめ「ニュースって言うんです。その日にあった出来事とか、色々報道してくれるんです。」 利通「瓦版のようなものか…。ん?」 と、また大久保さんはテレビの画面を指さした。 利通「お前の世界では政府の役人が盗人を捕らえるのか?」 あやめ「え?」 そこにはスーツを着た刑事が強盗を取り押さえる映像がちょうど流れていた。 そういえば、大久保さんもスーツ着てるから…そんな風に思っちゃったのか。 あやめ「んー、政府の役人というか、公務員ですね。」 利通「公務員?何か違うのか。」 あやめ「違うというか…事件の捜査とか、治安の維持とか、そういう犯罪を取り締まるのが仕事なんです。」 利通「奉行所とは違うのか?」 あやめ「奉行所……ってあれ、裁判もやりますよね。警察はやらないんです。権力が偏らないように。」 そんなもんだよね? 拙い説明にも大久保さんは何度か頷いて、 利通「権力を分散させることで均衡をはかるのか……。興味深い。」 と、にやにや笑っていた。 ちょっと……気持ち悪いかな。うん。
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