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恐い人
――那珠菜…。
暗闇の中、名前を呼ぶ者が居た。
静かに、悲しげに、苦しげに、その声は名前を呼ぶ。
――那珠菜……。
今にも泣きだしそうな声をしていて、胸が痛い。
(誰…? あたしを呼ぶのは……誰…)
――那珠菜……っ。
呼び掛けるけれど、声は答えてはくれない。
――那珠菜っ。…こに……。どこに居るんだ…。
(え…?)
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