君の魔力と僕の友人[AK+α]

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「おーおー。ラブラブだな、幼女と」 「…だから、幼女じゃねーって。行動は幼いけど、高校生くらいだし」 睨みを利かせて、一応の否定を続ける。 「くらいって、何だよ」 だって、本当の年なんか知らねえもん。 そもそも、人工的に生み出されたカズヤに、年齢と云う概念など存在するのだろうか? 最初に出逢った頃から、容姿的には何の成長もない。背も体型も、髪や爪さえも。 「気にすんな、言葉のあやだ。つーか、あいつ男だからな」 それは生き物の摂理から外された存在のようで、可哀想でもある。 カウンター越しに、コーヒーとお茶菓子をお盆に乗せているカズヤを見つめながら言えば。 男だと言う事実に目を見開いた後、怪訝に眉を顰める。 男にあんな格好させてるくらいなら、合コン来ればいいのに…と。 「あ。あかにしって、そういう趣味な人?」 「別に趣味じゃねえよ。カズヤは特別。それに、あの格好はハロウィンだから」 ひそひそと話していた俺らの間に、かちゃんと小さく音を立ててお盆が置かれた。 「なに、内緒話?…あ、はじめまして、カズヤです」 自分が好奇の目に晒されているなど露知らず、律儀にもぺこりとお辞儀をして。 にっこりと笑顔を浮かべる。 屈託のないあどけない笑みに、己に向けられた邪気のない純粋な好意に。 毒気を抜かれたのか、同じように名を名乗り、こうきは小さく頭を下げた。 「じゃあ、こうきくん。Trick or treat!」 自己紹介も終わった所で、唐突に告げられた日本では馴染みの薄いイベントの決まり文句。 普通の男子大学生がハロウィンに適したお菓子など、持ち歩いている筈もなく。 「え?…いや、持ってねえし」 「ふぅん。じゃ、イタズラしちゃおー」 ふるふると首を横に振ったこうきに、きゅっと口角を上げて顔を近付けるカズヤは。 妙に色気のある微笑みを湛えて、天真爛漫な台詞を吐く。 「ちょ、え、なに…?」 ガタンと椅子を鳴らして、少し後退りしたこうきを捕まえて。 そのまま、ちゅっと可愛らしい音を立てて、カズヤは唇を頬に押し当てた。 「…カズヤッ!なに、それ。何なの、そのイタズラ!」 「なに怒ってんの?たっちゃんのパソコンで調べたら、出てきたんだよ」 茫然と固まったままのこうきと、声を荒げて怒る俺と、悪びれる事のないカズヤ。 .
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