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「…ったく、まーた無理してる」
かめが安心して泣ける場所になれたと、思い込んでいたが。
ただの慢心、だったのだろうか。
そう懸念を抱いた俺に、かめはふんわりと微笑む。
「ふふっ。やっぱ、なかまるって優しいから好き」
「そりゃ、どーも…」
数刻前の台詞を準えたやり取り。
それに変化を持たらしたのは、悪戯っぽくも妖艶な眼差しのかめで。
ベッドに片膝をつき、俺の肩に手を掛けると。
「でも、ちょっと意地悪ななかまるも、好き…かも」
ゆっくりと上体を屈め、吐息を絡めた艶かしい声を紡がれた。
手慣れてんなー…と思いつつも、簡単に嗜虐心は扇動され。
「ふは。お前って、ほんとM……っあ、かめ!」
ニヤニヤと、口端を歪めていた刹那。
耳から少し後方にずれた、生え際に程近い首筋に。
濡れた感覚と、ピリッとした痛みが走る。
「…これで、おあいこ」
一応、気遣って見えにくい場所にしてくれたみたいだが。
そういう問題じゃねーし!
コレ…、たつやに見られたらヤバイ。すっげーヤバイ!
「へへっ。なかまるとも秘密、できちゃった」
ゆっくりと熱が離れていくのを、呆然と感じていた俺に。
かめは人差し指と小指を立て、内緒ね…とウィンクを決めて。
「俺だけがリスク背負うなんて、フェアじゃないっしょ?」
見せ付けるように、鎖骨の下の印を丸っこい指で撫でる。
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