君の魔力と僕の友人[AK+α]

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「あー、やっと終わった…」 一限からフルに詰まっていた講義が全て終わり、大きく伸びをする俺に。 「あっかにしー。明日、合コン行かね?」 意気揚々と声を掛けてきたのは、同じ学科のこうきだった。 子犬のように目をキラキラさせて、期待を募らせるこいつには悪いが。 俺の答えは、端から決まっている。 「行かねえ。前にも、断っただろ?」 「なんでー!お前が来るなら行くって子が、いるんだよっ」 さっさと身支度を済ませる俺に纏わり付きながら、こうきは喚いているけれど。 明日は授業も午前中だけで、バイトも休み。 そんな早く帰れる日に、何が楽しくて、自ら予定を入れなくてはならないんだ。 そもそも、明日はカズヤと約束があるし。 「最近、付き合い悪くね?まさか……っ」 校門を潜った辺りで、急に立ち止まり、声を詰まらせるこうきを振り返れば。 「お前が、すんげー美人に囲われてるって噂、ほんとなのか?!」 「んなわけあるかっ!」 とんでもない誤解を生みそうな台詞を、往来で何の躊躇いもなく叫び出すから。 こうきの口を慌てて塞ぎ、逃げるようにその場から走り去った。 「じゃあさ、今から確かめに行っていい?」 暫くして手を離してやると、開口一番に告げられた半ば強制的な問い。 きっと、ここで拒否でもした日には、噂は本当だったと認識されるに違いない。 それは、マズい。俺の男のプライドに掛けて、それは阻止しなければ。 うえだとルームシェアしてる事を説明して、カズヤは親戚のとこの子って事にして…。 「…よし。来てもいいけど、学校で言いふらすなよ?」 「わーかってるって」 ある程度の、予測できる限りのハプニングに対する言い訳を考えつつ。 妙に楽しそうな友人と連れ立って、いつもの帰路を辿る。 駅から程近い場所に建つ、明らかに学生が住むレベルではないマンション。 ここだと言うと、ぽかんと口を開けて、上層階を見上げていたこうきが此方を振り返り。 「……やっぱ、お前ヒモか」 「だからっ、違うっつってんだろうが!」 予想通りの反応で、俺を見つめた。 「じゃあ、あれか。実は、超お坊っちゃま…とか?」 エレベーターの中でも、矢継ぎ早に質問責めにしてくるこうきに。 知り合いのホストの家に間借りさせてもらっていると、端的に説明したのだが。 あまり、納得はしていないらしい。 .
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