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“あんなぁ。先生のが、一番…”
何かを企むように、きらきらと輝く瞳に。
首筋に触れるか触れないかの距離に、寄せられた唇に。
“……痛くなかったで”
下手くそな関西弁のくせに、本能を鷲掴みにする声に。
一瞬、ほんの一瞬だけど。
自分の置かれている状況を、大観衆の面前であるという事実を忘れた。
かっこつけでスターなコイツは、自分の魅せ方を知っていて。
どう行動すれば、どう声を出せば、ファンが喜ぶのか。
経験と感覚から導き出した、最も歓声の上がるであろう言動をしたまで…。
そう理解していても尚。
―― どうしようもなく、煽られたんだ。
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