曖昧アフェクト(NK)

2/11
前へ
/23ページ
次へ
“あんなぁ。先生のが、一番…” 何かを企むように、きらきらと輝く瞳に。 首筋に触れるか触れないかの距離に、寄せられた唇に。 “……痛くなかったで” 下手くそな関西弁のくせに、本能を鷲掴みにする声に。 一瞬、ほんの一瞬だけど。 自分の置かれている状況を、大観衆の面前であるという事実を忘れた。 かっこつけでスターなコイツは、自分の魅せ方を知っていて。 どう行動すれば、どう声を出せば、ファンが喜ぶのか。 経験と感覚から導き出した、最も歓声の上がるであろう言動をしたまで…。 そう理解していても尚。 ―― どうしようもなく、煽られたんだ。 .
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

199人が本棚に入れています
本棚に追加