君の魔力と僕の友人[AK+α]

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「…うえだのパソコン、どうなってんだよ!」 いや。根本的な問題は、カズヤがどんな単語で検索を掛けたか、なのだが。 そのコスプレと言い、イタズラと言い、どんなサイトを見たんだ。 つーか、その黒猫一式はどこで手に入れたんだ。 まあ、うえだが絡んでるのは間違いない。あいつ、カズヤに甘いからなぁ。 「あかにし、俺さ……」 などと呑気に考察している場合では、なかった。 ぽつりと若干の震えが感じられる声で言葉を紡ぐこうきに、ふと我に返り。 どうにかフォローしようと、思案を張り巡らせていたのだが、それは徒労に終わる。 「ひっさびさ、キュンってした!カズヤ、お前かわいいな」 「えー?俺、可愛いよりカッコイイがいい」 ……おい、勝手に呼び捨てにしてんじゃねえよ。 そんな狭量な文句は、一瞬で仲良くなってしまった二人を前に口に出せる筈もなく。 面白くない気持ちを内に押し込めて、コーヒーを啜った。 わざわざ黒猫のコスプレなんかしなくたって、お前は充分ネコみたいな奴だよ。 好奇心旺盛で、自由気ままで、気まぐれ、甘え上手な可愛い子猫。 ねえ、いつまでじゃれてんの?そろそろ、ご主人様の下に帰っておいでよ。 「じぃん、Trick or treat!」 俺の視線に気付いたのか、こうきの側からするりと抜け出すと。 今日何度目かのハロウィンの決まり文句を、上から覗き込むようにして俺に投げ掛ける。 「持ってねえよ」 だから…、そのイチゴ味のキャンディみたいに、赤い唇を。 甘くて柔らかいマシュマロみたいな感触を、早く俺にも頂戴? 「じんも持ってないの?なら、イタズラ…」 こうきの時と似たような科白で、同じように色っぽく唇を歪めて、顔を近付けてくるカズヤ。 先程は当事者ではなかったから、気付かなかったけれど。 伏し目がちな目元が、とんでもなくエロい。 さっきの言葉、ちょっと訂正。 可愛い子猫…じゃなくて、君は無垢で在りながら魔性の魅力を持つ小悪魔。 .
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