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「もっ…。苦し……っ、てば!」
盛大な、頭突きを食らわされた。
文句の一つでも言ってやろうと、口を開いたのだが。
「ん、は…ぁ。いきなり、激しすぎ…」
とろんと潤んだ目と、情欲に掠れた声でそう言われ。
余りの色香に、言葉を失ってしまう。
ごくりと生唾を呑む俺とは対照的に、余裕綽々な笑みを浮かべて。
「ふふ。なかまるも、そんなキス…するんだね」
“なかまるも”なんて、感に障るような言い回しをするから。
「……それ、誰と比べてんの?」
ちょっと、イジメてやりたくなった。
「そいつのと俺の、どっちのキスが気持ちよかった?」
そいつが誰かなんて、聞かなくても分かりきっているし。
かめにとっては、誰とも比べる対象ではないのだろう。
いや、負ける気はないけどさっ。
「なにそれ。超意地悪ぃ…」
案の定、眉間に皺を寄せて、アヒル口に上目遣いのかめは。
意識的なのか、はたまた無意識なのか。
「俺を優しいだけの男だと思ってんなら、大間違いだよ」
酷く、男の嗜虐心を掻き立てる。
表情だけではなく、簡単に押さえ込める艶やかな肢体も。
反抗的な言葉も、ひゅっと息を呑む動作さえも。
「っ……やだ、離して」
「はは、普通に無理っしょ。…逃がさねーから」
かめの総てが、妖しい魅力を持って人を惹き付ける。
これ以上、関わったらヤバイ。
頭の中に警告音が鳴り響いても、後戻りは出来なくて。
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