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「俺、なかまるが居てくれて…、ほんと良かった」
だから、放っておけない。
目尻に溢れる雫を嘗めとる度、擽ったそうに笑う仕草に。
安心しきったように、俺のキスを受け入れるかめに。
「そう?なら、これからは何かあったら俺を頼れよ?」
「ん、そーする」
沸き上がるのは、独占欲。
俺の中で、たつやとは違う場所をかめが占めているように。
かめの中にも、あかにしとは違う俺の場所が在ればいい。
「ははっ…、我ながら最低だな」
その自覚はあるけれど。
たつやには謝っても、あいつに謝る気など更々ない。
ぼそりと呟いた俺の独り言に、かめは小さく首を傾げた後。
申し訳なさそうに、体を離そうとする。
「ん…?でもさ、これ以上なかまるに迷惑かけらんないよ」
ほら。こうやっと、自分が切迫詰まっていても、他人を気遣って。
我慢して、内に溜め込んで、それを己で処理しようとする。
かめのそんな性格を、一番よく知っていたくせに。
「いい加減にしろよ?迷惑じゃねーから、言ってんの」
「っ……ごめん」
放っておいたお前が、悪い。
「ね、かめ。続き…、していい?」
唇を食みながら、半ば建前で聞いた問いに返ってきたのは。
本能を揺さぶる甘い声ではなく、全く予想などしていなかった台詞。
「ふふっ。ダメ…、今日はおしまい」
超至近距離で固まってしまった俺の頬に、かめは掌を添えて。
ごめんね…と、口移しで言葉を流し込んできた。
ちょっ、え、この期に及んで?
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