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志乃は添田が苦手だ。 というより、関わりたくない人物の1人だ。 志乃より5歳年上の添田は、言い方は悪いがとても見栄えのする男のため、なるべくなら、いや絶対に、社内外問わず二人で並んで歩くことも避けたいくらいの存在だ。 部長という肩書きに押され、仕方なくランチに行くことにした。 社食も捨てたもんじゃないが、添田はいつも外で食べたがる。 ビルから出てすぐの定食屋の暖簾をくぐる。 定食は有難い。 離婚してからというもの、全くと言っていい程に料理をしなくなった。 夜は夜で酒しか飲まない生活。 そんな不摂生女には、ランチにバランスの良い食事を取ることで、なんとなく体にいいという勘違いをもたらしてくれる。 志乃は野菜炒め定食を、添田は焼き魚定食を注文したところで、添田が口を開いた。
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