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そこまで添田がこだわる意味が分からなかった。
志乃は、会話の合間に添田が注文したウィスキーに手を伸ばし、ロックを作る。
それを一気に飲み干すと、空になったグラスを片手に、前屈みの姿勢で仮面のひとつである眼鏡を外し、添田を見据えた。
「何がお望みですか?」
上目遣いながらも、敵意丸出しのその視線は艶っぽく、添田を挑発する。
「お前をずっと見てきたよ。だから分かる。そろそろ、限界だろ?」
「だから?」
「俺に抱かれてみろ」
何が限界だというのか。
心身共になんの欲求不満もないと自負している志乃にとっては、添田の言うことが理解できずにいる。
「なんの意味も持たないですね…」
「そうかな。そうでもないと思うけど?
自分で気づいてないだけじゃないか?
そうなってみて、体は男を欲しがってることが分かるはずだ・・・」
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