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「分かった。
じゃ俺は好きにお前を抱くし、それが嫌だったらその時に言ってくれればいい。
無理強いはしない。それでいいだろ?」
「・・・わかりました」
変な緊張が志乃を襲い始める。
男とこんな雰囲気になったのは何年ぶりだろう。
元夫の夫婦生活も、ドキドキしなくなるのに時間はかからなかった。
まして、相手は部長である添田だ。
この綺麗な顔で見つめられたら、どんな女も堕ちるはず。
そして何より、自分がまだ女として機能するか不安が高まる。
(ダメだったらそれまでのこと・・・)
ウイスキーを飲みながら覚悟を決めた。
今までだって、開き直ってきたじゃないか。
誰にも、何にも、期待せず生きてきたじゃないか。
今夜の「これ」だって、なるべくしてなっただけ。
そう思えばいいんだ・・・。
そう、自分に言い聞かせた。
「じゃ、先にシャワー行くから・・・」
志乃の覚悟を確認した添田が立ち上がる。
その時、志乃に向かって一言。
「逃げるなよ」
そう言い、しっとりと唇を合わせてきた。
「部長こそ、逃げないでくださいね・・・」
そう答えた志乃の唇を一撫でし、添田はシャワーへ向かった。
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