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離婚したことで、周りに気を使わせることだけは避けたかった。
離婚したことで、寂しい女と思われたくなかった。
離婚したことで……….。
彼女のつまらないプライドが、より一層自分を追い込んでいることに気付かず、走り続けてしまったこの2年。
外面は、「強くてたくましい女性」という今時珍しくもない評価。
内面は、外で見せる仮面を、「日々厚く丈夫に保つことだけに執着する」女。
仮面はどんどん大袈裟になっていく。
インテリ感を匂わす、素顔を誤魔化せる様な眼鏡。
長めの前髪をアイロンでしっかり伸ばし、斜めから流すキレイ目ミディアムヘア。
仕事で着るスーツはバリエーション豊富で、同じものは毎日着ない。
どんなスーツも着こなせるスタイルを保つ。
化粧はナチュラルを志すが、まつげエクステは健在だ。
これも全て、隙を見せない女でいるための一種の自己暗示にすぎない。
ただ単に、志乃が勝手にそう解釈してるだけのこと。
周りからの評価は、
「今日の主任、また機嫌悪そう…」
「でもいつ見てもキレイだよね…」
「だけどさ、あれじゃ2度目の結婚はありえなくない?」
「確かに。もうちょっと可愛げあればモテるのにねぇ」
ある意味、志乃にとってはそういう評価は有難い。
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