序章 密音

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他人を批判する政治家、被害者を気取る加害者、人を殺すことがいけないと語る偽善者。 これらに該当する者達は、絶対に自分の弱みだけを見せることが無い。 「……醜い奴等ばかりだ」 他者を批判する前に、自分の仕事をしない政治家。 被害を被らない限り相手を挑発する癖に、いざ被害を被ると手のひらを返したように被害者を気取る奴。 赤の他人が殺されても素知らぬ顔をしている癖に、いざ身内が遭遇すると泣きついて自己満足を主張する遺族。 彼らは考えた事があるのだろうか? 自分が叱責を受けるとどのような気持ちになるか。 自分の正義を主張し、押しつけてしまうことが、どれぐらいの悪なのか。 赤の他人が死んだ時、自分の身内だったらどのような気持ちになるのか。 「……つまんね。……本当に腐敗した世の中だ」 俺もそのうちの一人になってしまった。 昔はそうでは無かった。
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