序章 密音

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――放課後 特に学校に居続ける理由も無く、風景以外は変わり映えのない通学路を遡る。 意味の無い授業を受けに学校へ通い、意味の無い拘束を解き放たれれば逆走するだけの毎日。 まるで、こんなつまらない行動を繰り返す事こそが、 人間の本質だと言わんばかりの愚行のように思えてならない。 「……はぁー……。俺は何の為に生まれてきたんだろう……」 「これから、どうやって生きていくべきなんだろうな」 それすらも分からないとなると、本当に困った物だ。 まして、自分の事を他人事のように思えてくるから、人間とは不思議な物だ。 「……あの、先輩」 学校を出ても、まだバレンタインが続いているようで、人気の無い通学路にも青春の香りが充満している。 正直な所、気分が悪い。
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