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ねぇ、なに作ってるの?
少女は婚約者の青年に話しかけた。
これはオルゴールだよ。
青年は優しく微笑んで答えた。
またオルゴールを作ってるんだ、今度は誰に?
少女は青年に訪ねた、すると青年は少女と自分の妹のためにと言った。
楽しみにしてるね、少女はそう言いニッコリと笑った。
青年は自分は本当に幸福者だと言った。
少女は急にどうしたのかと訪ねた。
すると青年は、婚約者と大事な妹と、こうして一緒に暮らせているから、と言った。
少女は思った。きっと彼は、今の幸せを神に感謝しているんだなと。
私も彼との平穏がこのまま続くようにと、神に願った。
この国では殆どの者が魔術を使える。逆に使えない人の方が少ない。
そして、より強い魔術の才能を持つ者が王となり全てを手に入れる。
新たな支配者候補として選ばれたのは少女の婚約者の妹だった。
それが、引き金だった.....。
歯車が狂い始め、少女と婚約者の妹は憎しみあった。
少女は思った...魔術など存在しなければ、きっと仲良く暮らせたのに...と。
そして、この先には最悪な結末しか残されていなかった.....
彼が見たものは、血に染まった造りかけのオルゴールだった。
惚れている女と泣き叫ぶ女、どちらも愛していた....愛してたのに...どうして.....。
もう鳴る事のないオルゴール
かつて国だった場所は今はもう廃墟だった。
正気を失った老人は何かを造る。
旅人が何を造っているのかと尋ねた。
オルゴールだと、老人は答えた。
だけど、老人が持っていたものはただのガラクタにしか見えない
―――黒い箱だった.......。
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