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なんてこった。
この言葉に出会った時、俺はそう思ったよ。今の俺、まさに『餓鬼』そのものじゃないか。『食いたい、食いたい、食いたい』、それにがんじがらめに捕らわれて、堕ちるところまで堕ちた欲の塊の成れの果て。生きながらにして鬼となり、抜け出せない無間地獄で死ぬことも出来ずに苦しみ続ける。
あの抑えきれない異常な過食衝動に捕らわれている間、それでも何とかしてこの悪夢のような状況から抜け出したくてさ、自分なりに解決方法を調べたりしてみたんだ。
ああいう無茶苦茶な食行動、『摂食障害』っていうんだな。それを病気として専門に治療する病院やクリニックも幾つかあったし、中には催眠療法だとかスピリチュアル何とかだとか、よく分からない治療法まであったよ。
ただ治療費が半端じゃなく高いんだ。まともに仕事も出来ない俺には手を出せるもんじゃなかった。
今思えば、結果的にはそんな治療法に手出し出来なくて良かったと思うんだがね。ただ調べていくうちに分かったことがあった。
それは『摂食障害』で苦しんでいる人間がいかに多いかってことなんだ。
摂食障害にも拒食症、過食症と色々あるが、どれにも共通して言えることは、『食べること』への異常なまでの執着心だ。食べることを悪と思い込むほどに嫌悪し、しかし同時に生きる為に必要な量を遥かに超えた食べ物を身体に詰め込む。そして食べてしまったことを罪のように感じて、胃の中の物をすべて吐き出す。
専門家ではないからあまり詳しくは分からないが、こういった状況に陥っている人間は所謂『先進国』で急増しているそうだ。まあ、当然だよな。食うにも困る程困窮した人間が、わざわざ食ったものを吐き出したりしないよな。
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