タイトルのない日常

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課題といっても、大したものではない。新聞の記事を切り抜いて、二言三言そえるだけ。後は、それを時事問題としてプリントにするだけだ。 こんな簡単なことなのに、放課後まで居残りするハメになった。 案外、この課題の思惑はコミュニケーション能力を養うためのカリキュラムの一環なのではないか? そう思えてならない。 ――と、その時、首筋にひやりとした寒気が走った。 いや、寒気というか、冷たい何かを押し当てられたのだ。 ぎょっとして振り返ると、すぐ背後には缶ジュースを持った真帆が立っていた。 「な、なんだよ」 「休憩するんでしょ? だから、これ買ってきた」 相変わらずの無表情で真帆は言った。ただ、悪意はないのだろう。いや、悪戯っぽい笑顔でもあってくれれば笑い返せたのだが…… ああ――とだけ答え、ジュースの礼も言えないまま、僕らは外の空気を吸いに出た。
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