タイトルのない日常

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視線に気付いたのか、真帆は上目遣いに見つめ返してきた。 「……適当に休んで帰る? それとも、どこか行く?」 首を傾げ、意向を問う真帆。 「もう、ここでいいだろ」 「……味気ないね」 意外にも真帆は残念がった。てっきり面倒臭がるとばかり思っていただけに、何故か悪いことをしたような気持ちになる。 「だったら――」 雰囲気が悪くなる前に、眞柴にならって軽口を叩いてみた。 「僕の膝の上に座るかい? いつもより高い目線で物事が捉えられるかもしれないぜ。by――」 「うん」 最後まで言い終わらぬうちに、真帆が答えた。 「……え?」 呆気にとられた僕を見て、真帆はいかにも底意地の悪そうな笑みを見舞った。 「冗談だよ」 「……はは、意外に面白いヤツなんだな」 「私は、普段からこんなんだってば」 真帆は唇をとがらせて言う。
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