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そして―― 「こちらが、沙夜――」 「こいつは“煉獄の劫火”のなんだ?」 僕のセリフを食い気味に訊いてくる。 「えっと、沙夜は――」 「“元カノ”の前だからって、遠慮する必要は無いわよ。ゆとり」 今度は沙夜が食い気味に言う。 「お前には訊いてない。それに俺様ちゃんは“煉獄の劫火”の元カノなどでは無い! パートナーだっ!」 今までもこれからもな、と神楽が語気を強めて言った。 「だから、私のゆとりを変な名前で呼ぶなと言っているでしょう? その耳は機能していないの? 要らないなら外してあげるわよ?」 語気こそいつも通りの淡々とした抑揚のない口調だったけれど、かなり怒っていらっしゃる!? しかし―― 「“煉獄の劫火”を“煉獄の劫火”と呼んで何が悪いと言うのだ!」 神楽は譲らない。彼女にとって、僕はまだ“煉獄の劫火”のようだ。
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