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誰か、屋上に来たのだろうか。 なんて――僕は軽い気持ちで振り返った。 しかし、そんな筈は無い。 そもそも、屋上の扉は錆ついていて、ヒミコが蹴ったりしない限りはぎぎぃと不快な音が鳴る。 いやいや、それ以前に僕の正面側に扉がある。 僕の背後は何も無い。あるとしても、精々フェンスくらいのもの、その筈だった。 そこには――人が居た。 車椅子に座って――その人は笑顔で佇んでいた。
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