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意外、と言えば意外。 当然、と言えば当然。 ヒミコも五十嵐も自分の能力を使いたくない、見せたくない。 僕だってそうだし、姫島先輩だってそうだ。 そして、次のセリフはヒミコらしいセリフだった。 「んー、じゃ仕方ないねー! かかって来てよ! 能力は見せてあげないけど! ふぁいあーがーるヒミコちゃんが“虎河流”を見せてあげるー!」 どんっと、グラウンドを割れるほど踏み抜いて構えた。 中腰の姿勢、両手は握らず引っ掻くように開き、左手を下にして右手を上に、顔の前に出して。 何と言うか初めて見るけど、ボクシングや空手とかとはまるで違う構え。 次に何をするか、全く分からない構え。 分かるのは五十嵐くらいものだろうけれど、五十嵐は呆れ顔でもどこか嬉しそうに見ていたので話しかけるのに躊躇われた。
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