006

22/26
前へ
/300ページ
次へ
五十嵐がヒミコを起こしながら―― 「ヒミコ、もういい」  そう言った。 ヒミコの表情はこちら側からではよく見えないけど―― 「ダメ! ダメダメ!! ヒミコちゃんはまだやれる! ふうちゃんは――」 「良いんだ、もういい。お前は見せたくないかも知れないが、俺は見せる事にした。この人達なら大丈夫だろ」 「良い……訳、無い……よー。だってふうちゃん……」 「良いんだ」 そう言って、五十嵐は津久見先輩と向き合う。 「夢乃園高等学校一年、『五十嵐風雨』――参る」 避けて下さい。そう呟いて、消えた。   消えたように見えた。見えなかったのだけど、見えたと言うのは変かな。 津久見先輩が崩れ落ちると、その向こうに五十嵐が居た。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加