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「ごめんなさいね、ありがとう。“眠れ”」
ヒミコはそう命令され、糸が切れたように倒れた。
僕と五十嵐が駆け付けると、スヤスヤと寝息を立てて熟睡してしまっていた。
「終わっただろ? 俺とヒミコは帰る」
当然のように、そうするのが当たり前のように、自然な所作でヒミコをお姫様抱っこし、五十嵐が言う。
「えぇ、ごめんなさいね。お疲れ様」
「別に良いっす。お手数おかけしました」
会長に頭を下げ、踵を返す五十嵐を僕は呼び止めた。
「五十嵐、身体大丈夫?」
ヒミコがあんなにも取り乱していたのだ。無事な筈は無い。
流石に五十嵐といえど、心配になる。
「いや、大丈夫だ。ガキの頃、無茶な使い方して大怪我した事をこいつは引きずってんだよ」
明日は筋肉痛だな、と呟いて五十嵐はヒミコを連れて歩いていく。
宇佐先輩が指を鳴らすと、二人は消えた。
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