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“煉獄の劫火” 僕はこれを『かつての僕』と表現する事がある。 と言うか、そうとしか表現できないのだけど。 でも、それは正確では無い。 確かに、そう名乗っていた事もあった。 しかし、“煉獄の劫火”は『最上 ゆとり』では無い。 “煉獄の劫火”という名前は僕が考えた名前で、由来は僕の眼に映る景色そのもの。 いつの頃からだったか。もうはっきりと覚えていないのだけれど、僕の視界が、僕の世界が燃え始めたのは。 燃え上がる世界。 僕はそれを“煉獄”という言葉、そして“劫火”という言葉を知り、やっと名前を付ける事が出来た。 だけど、僕はこの能力(と言って良いのかは分からないけれど)について、知れば知るほどに――怖くなった。
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