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生徒会役員+αで行われた能力検定から、一週間ほど経ち――
僕と神楽は二人で下校していた。
五十嵐とヒミコの二人は予定があると言って先に帰ってしまったし、沙夜は午後から早退してしまった。
早退の理由は訊けなかったけれど。
そういう訳で、二人きり。
久しぶりだし、言いたい事も聞きたい事もたくさんある筈なのに。
お互いに何も言う事無く、僕らはただ黙って歩いていた――訳では無い。
「聞いているかい? ゆとり君」
「ん、あぁ、もちろん」
「そうかそうか、ぼくとゆとり君が二人きりと言うのは、実に一年ぶりと言う事でぼくは少し舞い上がってしまっているようだよ。君と話したいとも思っていた事がたくさんある筈なのに、いやはやこうしていざ話すとなると何から話したものかと色々考えてしまう。以前のぼくは何と言うか、話す事が出来なかったので君が話してくれるのを待つ立場だったけれど、こうして見ると君は実に聞き上手なんだな。改めて君の魅力を見つけたよ」
ふふふ、と作り物みたいな笑顔で、実に楽しそうに話す神楽。
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