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別段断る理由も無い。
ただ、沙夜の様子が気になったけれど、気にし過ぎても仕方ない事だろう。
「そんな風に断わりを入れる必要は無いよ。僕らの仲じゃないか」
「あぁ、そうだね。君がそう言ってくれるとぼくは嬉しい。とても嬉しいよ。一年前にぼくらは決裂してしまったと言って良い筈なのに。君の寛大さには感服するばかりだ」
決裂。
お互いにその話題は避けてきた、ように思う。
でも――
「そんな寂しい事を言わないでよ。友達でしょ?」
「そうだ、そうだね。ぼくらは友達だ。では、親愛なる友人であるゆとり君をぼくの家に誘いたいと思う。ついて来てくれるかい?」
そう言いながら、神楽は僕に背を向けて歩き出した。
「え? 家?」
困惑する僕を残して。
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