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そこは、僕の住むマンションから徒歩十分ほどの場所にあった。
いや、近くないか?
立地条件というと、僕はその辺に詳しい方では無いのでうまく説明できないけれど。
道路を挟んで向かいにコンビニ、駅まで徒歩二十分。
まあまあな立地なのではないだろうか。
よくは知らないけど。
三階建ての比較的新しい建物、というか住居か。マンションもしくはアパート、コーポ?
これらの違いを僕は把握していない、故に判断できないが。
たぶん、アパートであっていると思う。
その二階、二○三号室。
神楽がおもむろに扉の前で立ち止まり、バッグから鍵を取り出す。ギザギザしていない鍵。
僕の持っている自宅マンションの鍵とはタイプが違うようだけど、似たような鍵だった。
「少々散らかっているけれど、気にしないでほしい。自分の家だと思って――いや、君の家と比べると手狭だからこの言い方は変だな。ふむ、自分の部屋だと思って寛いでくれ」
「えっと、神楽? ご両親は?」
「心配しなくていい。ぼくは今一人暮らしなのでね」
え? 一人暮らし?
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