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手持無沙汰なので、部屋を見回す。
あまり、行儀が良いとは言えない行為ではあるけど。
とにかく物が無い。
生活感がまるで感じられない無機質な部屋。
段ボールとかが積んでいてもおかしくないと思ったのだけれど、転校してきてから一週間以上経過しているのだから片付けてしまったのだろう。
「ご両親とは一緒に戻って来なかったのか」
「ん、両親はまだ新潟に居る。向こうの学校はぼくには合わなくてね、こちらの学校――『ゆめこう』というのだったか、『ゆめこう』に転校するという事で、ぼくだけこの町に帰って来られた。とは言え、ぼくがこの町に戻って来たのは転校する為だけではもちろん無いのだが」
「転校が決まったから、こっちで暮すんじゃないの?」
「無論。ゆとり君、君に逢う為だ」
コーヒーを神楽から受け取った。
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