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「……そうか」 そう言って、コーヒーを口に運ぶ神楽。 僕があの集団を作った理由は、神楽には話していない。 中学一年生、僕が“煉獄の劫火”という仮面を初めて被ったあの日。 神楽と僕は出逢った。 当時の神楽は“空白”そのもの。 クラスでも、空気みたいな扱いを受けていた。 そんな彼女を僕は放っておけなかった。 初めて出会う僕と同じ異質な存在である彼女。 誰も彼女に声をかけたりしないし、教諭ですら彼女の存在を無視していた。 いや、彼女の存在に気付く事が出来たのが、僕だけだった。 僕は一方的に彼女に話しかけ、一方的に彼女を連れ出し、そして一方的に異質な者達を集めた。 彼女と“友達”に成れる者達を。 全ては僕の自己満足でしかなかった。 中学二年生と中学三年生の挟間である春休みの出来事。 その最終日に。 僕は神楽に壊され、僕は神楽を壊した。
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