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気圧されて、思わず息を飲む。 ふぅ、一息つき、僕の答えを返す。 「いや、過去に戻ったって、多分僕は後悔する。過去に戻ってしまった事を。僕がやって後悔した事も、やらずに後悔した事も、やり直すべきことでは無いし、後悔した事を無かった事にしてはいけない……と、思う。だから――」 僕は過去に戻ったりしない。 戻ってしまったとしても何もしない。 とか、そんなきれいな答えを返してみた。   マガリは僕のそんなつまらない回答に、口角やや上げて鼻で笑った。 鼻で笑った。鼻で笑った! 「笑ったな! しかも鼻で!」 「それはゆとりの答えじゃないネ。どっちかって言うと“煉獄の劫火”の答えだネ!」 うぐ、その名前を朝から聞きたくは無かったのだけど。 「まーネっ! キミは何となくそう言う気がしていたんだけどネ!」 そう言って、くるくるとその場で回ってみせるマガリ。 なかなか、可愛いじゃないか。ばかやろう。
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