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帰り道で、僕はケータイを開く。
「……返信、無いよね。はぁ」
当然のように、沙夜からの返信は無い。
期待していたわけでは無いから、少し気分が沈む程度だった。
意気は消沈していても、自宅マンションまであっという間に帰りついてしまった。
普段、沙夜と帰っている時はもっと時間がかかってしまうのに。
喪失感、と言うのだろうか。
僕は物足りなさを感じながら、ただ歩く。
沙夜の家の前で足を止めたものの、まずは着替えを済ませようと自宅へ向かう。
鍵を開けて玄関に入ると、見慣れない靴が一足揃えて置いてあった。
母のものだろうか、ヒールの高いパンプス。
だけど、この時間帯に帰宅しているなんて事は無い筈なんだけど。
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