009

2/35
前へ
/300ページ
次へ
着替えを済ませてから、僕はリビングに戻った。 リビングにはスーツ姿の女性が一人でソファーに座っており、みっちゃんが用意したであろうお茶を啜っている。 何と言うか、堂に入っているという風体だった。 姿勢正しく、それでいて寛いでいるというか、浮いているのに嵌まっている。 そこにそうあるのが不自然な筈なのに、それが当たり前のような。 そんな存在感を放つ女性。 僕の伯母にあたる、年に数回顔を合わせる程度で、僕の印象では『よく分らない人』という不確かで、不鮮明で、不明瞭な人物だった。 名前は『最上 真理(もがみ しんり)』 歳は、確か父の一つ上の三十六歳か三十七歳だったように思う。 歳の割に落着きが無く、ふらふらとしているイメージが強い。 その所為か、実年齢よりもずっと若く見える。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加