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「え? 今、何て――」 困惑する僕をおいて、真理伯母さんは続ける。 「それは無駄だから、止めなさい。沙夜ちゃんに会いに行こうとしても、会う事は出来ないから。君が知っている場所全てを探しても、それは同じ事。君は絶対に沙夜ちゃんに会う事は出来ない」 無駄だと、会えないと。 「停滞、これが私の一番嫌いな事。分かる? 停滞だよ。止まってしまうという事は何より恐ろしい事。君が沙夜ちゃんを探すという事は、正しくそれだよ。停滞だね。良い? 物語がいつまで経っても進まないなんて事は、読者にとって苦痛以外の何でもない」 停滞している、と言う。 「勘違いしているね、君は。良いかな? 君の隣に居るべきは誰だと思っているの? それは当然、沙夜ちゃんでしょう? 神楽ちゃんでも曲ちゃんでも無い、まして火魅子ちゃんでは無いよ。『宵闇 沙夜』ちゃん、彼女が君の隣に居るべき人物の筈でしょう? 違うの?」 それについては、激しく同意する。
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